隔て、尚、照らす。矛盾の中に見える美。日本の心。
1本の溝に2枚の明かり障子を引き違いにしたものを子持ち障子という。たとえば、元興寺の鎌倉時代の禅室にある。当時のみで深い溝を彫るのは、相当の手間であったろう。2本の溝を彫るよりも、幅の広い溝を1本彫るほうがわずかに簡単であったのかもしれない。しかし、禅宗様の建築であることから、技巧的な遊びと考えた方が妥当と思われる。
1本の溝に2本の障子を入れても、そのままでは引き違えないので、工夫がある。召合わせの縦框はそのままにして柱側の縦框をほぼ溝幅に合わせて作ってある。こうすると、明かり障子は外れることなく、引き違うことができる。
子持ち障子は、禅宗方丈建築の最古の遺構である、東福寺竜吟庵方丈にも使われている。ここでは、一本の溝に四本の明かり障子が立てられている。中央の2枚が上記の方法で引き分けられ、外の2枚は幅が狭く、開閉のできない嵌め殺しとなっている。 禅宗様の建築では、随所に意匠の工夫や技工の斬新さが見いだされる。